すべては線を引くことに始まる。
線を描くことは表現するためのもっとも原始的あるいは
基本的な技術である。
必要な道具としては、指先に始まり、先の尖った棒や鉛筆、ペンとインク、
ボールペン、筆と墨などさまざまなものがある。
線である空間を囲いこむことによって,形が映し出される。
絵画の基本技術の第2は、
線で囲まれた形の中を色で埋めることである。
「彩色」と呼んでいる。
濡れた紙の中央に墨をたらし、そのにじみでできる形はどう考えるのか?
にじみはことさら色を塗ったものではない。
にじみはことさら色を塗ったものではない。
しかしひとつの形の内側が色で埋められていることに
変わりない形を決めてから色で埋めたか、色の周囲に形ができたかという差はある。
しかし、どちらも色による形の内側の埋め方の変形である。
絵を描くのに必要な技術がもうひとつある。
それは「消す」あるいは「塗り残す」ことだ。
木炭デッサンで黒く塗った面を、パンでひとこすりすると黒が消えて、
白や灰色の線や面が現われる。
白や灰色の線や面が現われる。
フランク·ステラの幾何学的な絵画は、
色面と色面の間をあらかじめマスクして、
白く塗り残すことですっきりした形を生み出している。
刻線の表現である銅版画では、いちど彫り込んだ線をバーニッシャーと呼ぶ。
道具で部分的に埋め、点線をつくる。
絵を描くことは、線を引くこと、色面をつくること、
消すことの組み合わせて出来上がる。
それぞれの技法にさまざまなバリエーションがある。
ひとくちに線といっても、線の太さはさまざまだ書道の文字は
見方によっては面でもある禅僧の墨跡が字か絵かよく迷う。
読めないということもあるが、線を引く道具の選択や使い方ひとつで、
当人は線を引いたつもりでも、結果はある面積をもった点が移動したために広い面ができたからでもある。
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