スキップしてメイン コンテンツに移動

迷惑







1,「迷惑」とは



電車の車内を少し観察してみると,不適切だとされている

さまざまな行為がなされているのを観察することができる。



携帯電話で周囲に聞こえるような大きな声で話している人もいるし、

立っている人がいるにもかかわらず人や隣の座席に荷物を置いている人もいる。

大きな声で話に夢中になっている

グループもいるし、床に座り込んでいる人もいる。

また化粧を始める女性がいたり、

カップルがじっと見つめ合っていたりすることもある。



個人差もあり, 
自分は不適切だとは感じないというものもあるだろうが、

これらは一般に不適切であるとして取り上げられることの多い行為の例である。


電車の車内で不適切とされる行為のなかには、

痴漢やスリなどのように明確に法律にふれる犯罪もあるが、


大概は法律にふれるから


不適切とされているわけではない。







それらの行為が不適切であるとされる際の基準(規則)のうち、

法律として機能されているものはごくわずかである。


むしろそれらの規則の大半は 
マナーとかエチケットとか常識とか呼ばれているような、

違反したからといって犯罪になるわけではないが、


周囲から非難のまなざしを向けられるような性質のものである。


法律として機能されていないそれらの規則の内容は

しばしば「他人に迷惑ない」というふうに表現される。





車内のアナウンスもしきりと

「まわりお客様のご迷惑になりますので」と繰り返す。


不適切とされる行為が「迷惑行為」と呼ばれるのはそのためである。



たしかに電車で不適切とされているには、グループが大声で話していてうるさいとか、

ヘッドホンの音漏れがうるさいとか、

出入口をブロックしていて乗り降りのじゃまであるとか、


「迷惑」という言葉があてはまるものも実際多い。

だが「迷惑」という言葉では

うまく説明できないようなものがある。





たとえば車内で化粧をしている人やじっと見つめ合っているカップルは,

「迷惑」といえなくはないとしても、

どこが具体的に「迷惑」なのかを説明することは難しいように思える。


車内での化粧やカップルの親密な関係が不適切だと感じられることの背景には、


「迷惑」という言葉では表現しきれないもっと微細な規則が存在している。

そして, 
さらに注意深く車内を観察する必要がある。







コメント

このブログの人気の投稿

重いものと軽いものを地面に落としたら?

重いものと軽いものを地面に落としたら どっちが早く落ちるのか? 結論からいうと、どちらも変わらない。 (*しかし、空気がある世界では、より軽く、よりやわらかく、 表面積が大きいものが 遅く落下する。 ペラペラの紙切れがゆっくり落ちていくのが最たる例である。) 物理学の世界では、 物体を自然と落とすことを 自由落下 という。 では、なぜ重いものと軽いものが 同時に落ちるのか、思考実験といわれる 頭の中で実験をして確かめてみよう。 空気抵抗が無いもの、つまり 真空中 と 仮定して話を進めてみる。 【真空中…空気が全くない状態。】 1gのものと、1gのものを同時に落としたら、 同じ速度で落下することは納得できると思う。 では、1gのものと2gのものは? と考えてみよう。 2gのものは1gのものを1+1=2個くっつけただけであり、 それ以上のものではない。 くっついたというだけのことで落下速度が速くなるのであれば、 分割すれば遅くなる ということが推論できる。 じゃぁドンドンと分割していくと、 そのうち落下しないで 空中に止まったままになるのか? とまぁこんな感じの思考実験をすることで ある程度納得できるのではないかと思いますが、どうだろうか ? では、実際に理論的に説明していこう。 重い物に働く重力の方が軽い物に働く重力より大きい。 重力 (mg) =質量 (m) ×比例係数 (g) … ① この公式は中学物理で出てくるものである。 比例定数は重力加速度=gと呼ばれ、 厳密には  g= 9.80665[m/s² ]  と定義されている。 同じ力を加えても 重い物 の方 が 軽い物 より 動かしにくい 。 加速度 ( a :   m /s 2 ) =加える力 ( F: N) /質量 ( m: kg)    … ②  ②…これを運動方程式という 【*物理学で力は記号でFを表す。単位はN。】 これも経験があるのではないだろうか。 次のような経験がないだろうか? ・同じ重さなら加える力が大きいほど良く加速する。 ・同じ力なら軽い物ほど良く加速する。 物体に加える力が重力だけの場合は、 ①を②に代入して、 加速度=加

儀礼的無関心

1,電車での出来事 電車の中では、 ふつうであれば夫婦や親子など 親密な関係にある人間しか 入ることを許されない密接距離や、 友人同士で用いられる個体距離のなかに 見知らぬ他人 が入りこんでくるということから、 別の規則が派生してくる。 私たちはたまたま電車で隣り合って座った人と 挨拶を交わたりしないし, ふつうは話しかけることもない。   私たちはあたかも 自分の 密接距離 や 個体距離 のなかに 人がいることに   気がつかないかのように、 それぞれ新聞や雑誌を読んだり、 ヘッドホンをつけ 音楽を聴いたり、携帯電話をチェックしたり、 ゲームをしたり,あるいは 目をつむって考えごとをしたりしている。 それはあたかも 物理的に失われた距離を心理的距離によって 埋め合わせているかのようである。 アメリカの社会学者 E. ゴフマン( 1922 ~ 82 )は, 公共空間のなかで人びとが示す このような態度を 儀礼的無関心 と呼んだ。 2、具体的に儀礼的無関心とは どのような状態で 行われるのか? 「そこで行なわれることは、 相手をちらっと見ることは見るが、 その時の表情は相手の存在を認識したことを 表わす程度にとどめるのが普通である。 そして、次の瞬間すぐに視線をそらし、 相手に対して特別の好奇心や 特別の意図がないことを示す。」 電車のなかで他の乗客にあからさまな 好奇心を向けることが 不適切とされるのはそのためである。 たとえば, 電車のなかで他の乗客をじろじろ眺めたり, 隣の人が読んでいる本を のぞきこんだりすることは不適切と感じられる。 例外は子どもである。 子どもは他の乗客を指差して 「あのおじさん変なマスクをしてる」 と言っても大目にみられるし, 逆に子どもに対してはじっと見つめることも, 話しかけることも許され

地中海式農業

1,地中海式農業 地中海性気候 、すなわち冬季は温暖・湿潤、 夏季は高温・乾燥の気候地域にみられる農業様式。 商品作物としての耐乾性樹木作物と自給作物としての 小麦栽培 に、 ヒツジ、ヤギの飼養を取り入れた 有畜農業 である。 とくに耐乾性作物であるオリーブ、イチジク、ブドウ、柑橘 類、 コルクガシなどの栽培は有名で、なかでもオリーブは標式的な樹木といわれている。 伝統的な 地中海式農業 は、 小麦 ・ オリーブ ・ ブドウ の三大作物の栽培とヒツジの移牧を特徴とする。 しかし、 灌漑 農業 の普及や農業改善事業の進展などで、 オレンジ、レモン、野菜・花卉 類などのより商品性の高い作物の栽培が 盛んになる一方、 移牧 は衰退しつつある。 地中海式農業が典型的に発達する地中海沿岸地方では、 山地斜面まで石材などを利用した 階段状耕地 が造成され、 独特な景観をなしている(イタリアのアマルフィやチンクエ・テッレなど)。 イタリア半島 南部やイベリア半島では大土地所有制度が残存し、 多くの零細農からなる農村では、 伝統的な農法による生産性の低い農業が営まれている。 地中海式農業地域としては、 このほか近代的な灌漑施設を整えたアメリカのカリフォルニア地方をはじめ、 チリ中部、アフリカ南西部、オーストラリア南部などがある。 [新井鎮久・井村博宣] リンク リンク