早速ですが電子といえば何をイメージしますか?
まぁ漢字から察するに電気っぽい物質なんだろうと思う方も多いはずです。
実際、その読みは間違ってはいません。
この世界は物質で満たされています。
木も水も動物も
そして今、このサイトを見ているあなたも調べている携帯も全て物質です。
そして今、このサイトを見ているあなたも調べている携帯も全て物質です。
その物質は細かい粒で出来ています。
当然、人間の目で確認できる大きさではありません。
その基本となる細かい粒を原子といいます。
電子はその原子の中心にある原子核を飛び回る
マイナスの電荷(負の電気)をもつ粒です。
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原子モデル ↑飛び回っているのが電子 |
もう一度ざっくり言うと、物質を構成する最小単位の原子
(※1897年までは原子が最小単位であった。)に飛び回っているもの
(電気を持ったハエみたいな)と認識して頂いたら幸いです。
ここからは正確に電子について説明します。
電子は別名、エレクトロン(electron)ともいいます。[ギリシャ語が語源。]
すべての物質の構成要素をなす安定な素粒子*で、レプトン*の一種。
【素粒子*....今、現在人類が確認した物質を構成する最小単位。】
【レプトン*.....素粒子のグループに属する。】
電子は19世紀末に J.J.トプソンにより真空放電の陰極線を形成する
負電荷の粒子として発見されました。
やがて光電効果*やβ崩壊*の際に放出される負電荷の粒子も
電子であることが判明しました。
【光電効果*....光によって電子が金属から飛び出す現象。
なぜこんなことが起きるのか。それはまだ解明されていません。】
【β崩壊*.....放射線としてβ線(電子)を放出する放射性崩壊の一種。】
電子はすべての物質に共通な構成要素で,
例として、原子番号Z の原子は正電荷 +Ze の1個の原子核と,
そのまわりを取巻く
Z 個の負電荷 -e の電子の雲(これは比喩表現)で形成されています。
Z 個の負電荷 -e の電子の雲(これは比喩表現)で形成されています。
電子の電荷の大きさ e=1.602×10-19C*は電気素量と呼ばれています。
【C:クーロン....電気量】
電子の質量は 9.109×10⁻²⁸g=0.511MeV/c2 ( c は光の速度) で,
原子核を構成する陽子や中性子は
電子の質量の約 1840 倍の質量をもちます。
電子の質量の約 1840 倍の質量をもちます。
したがって,
原子核は原子の体積の1兆分の1以下の微小なものでありますが、
原子の質量の大部分を占め,原子の体積の大部分の体積を占める
電子の幕は原子の質量の 4000 分の1以下を占めるにすぎません。
分子の化学結合,金属の電気伝導や磁性など,
物質の性質のほとんどを決めるのは電子の役割であります。
物質の性質のほとんどを決めるのは電子の役割であります。
電子は量子力学的*な粒子で,
電子線がもつ波動の性質を利用したのが電子顕微鏡*であります。
【量子力学*...量子の力学。電子がその一番の例。
波と粒の性質を持つ特殊な存在(量子を)探る学問。】
【電子顕微鏡*...光学顕微鏡(理科室にある)は約2000倍まで拡大できる。
しかし、電子顕微鏡は約100万倍まで拡大することができ、
分子や原子を観察するレベルまで出来る優れ物。】
ところで、電子が原子核をハエのように飛び回っていることを覚えていますか?
飛び回っているということは電子は公転しているということになります。
電子はフェルミ粒子*であって,ディラック方程式*に従い、
【フェルミ粒子... スピン(回転)している粒子。
またスピンの角運動量の大きさがhの半数倍。
要するに、電子は1/2でスピンしている。
(しかし、電子は自転しているわけではありません。)
ややこしいですね笑笑。】
【ディラック方程式*...波動を表したシュレーディンガー方程式に
特殊相対論を掛け合わせたもの。】
特殊相対論を掛け合わせたもの。】
空孔理論*によって,電子はその反粒子*として,
【空孔理論*...電子に光を浴びせると、
エネルギーを持ち、上のエネルギー準位へと飛び移る。
エネルギーを持ち、上のエネルギー準位へと飛び移る。
それを繰り返していき穴と正エネルギーの電子が再び出会えば、
電子は穴に落っこちる。高エネルギーの光を放って
両者とも消滅したように見える。これを空孔理論という。】
【反粒子*...元々負電荷が占めていたところに穴が空くのだから、
我々はこれを正の電荷を持つ粒子が出現したかのように
観測してしまう。この粒子を反粒子と呼んだ。】
ほぼ同じ性質の陽電子(ただし電荷は +e ) という名の仲間をもつと予想され,
これは1932年C.D.アンダーソンによって
宇宙線*の霧箱写真*のなかで発見されました。
宇宙線*の霧箱写真*のなかで発見されました。
【宇宙線*...宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線。】
【霧箱*....放射線を可視化する装置です。】
2、電子殻とは
意味・定義
原子に属する電子は単に原子核の近くに群がっているわけではありません。
各電子はそれぞれ定まった場所に収納されています。
この収納場所を電子殻と呼びます。
電子殻は球殻状の形をし、原子核の周囲に何層にもなって重なります。
各電子殻には名前がついています。
それは原子核に近い内側のものから順にK殻、L殻、M殻 などと、
アルファベットのKから始まる順になっています。
各電子殻にはK殻(1), L殻(2), M殻(3)などのように量子数と呼ばれる
整数が付随し、
電子殻の性質はこの量子数によって規定されます。
各電子殻には収納できる電子の最大個数が定まっていますが、
それはK殻(2個)、L殻(8個)、M殻(18個)です。
例えば、酸素[O]なら、原子番号は8なので、電子の数は8個。
よって、酸素の電子殻はK殻(2個)、L殻(6個)となります。
一般化するために、量子の数をnとすると、2n²個となっています。
電子殻の半径は量子数の2乗に比例して大きくなります。
また各電子殻は固有のエネルギーを持っており、
それは原子核に近いK殻が最も大きく、
量子数の2乗に反比例して小さくなり、やがて0に収束していきます。
単位・記号の由来
本来、アルファベットを使って電子殻に名前をつけるなら、
最も小さい電子殻から順にA殻、B殻、としそうなものですが、
最初がK殻になっています。
その理由は、最初に発見した化学者が、それを最小の電子殻と
確認できなかったためといわれています。
もし、これをAとした場合、後にさらに小さい電子殻が発見されると
名前の付けようがなくなります。
そのような配慮から、アルファベットのほぼ中間であるKから名前を付けはじめたのだろう、
といわれています。
電子配置とは
電子がどの電子殻にどのような状態で収納されているかを
表わしたものを電子配置といいます。
周期表はこの電子配置を忠実に反映したものです。
すなわち、周期表には横に1族~18族まで並ぶ族と、
縦に第1周期から第7周期まで並ぶ周期がありますが、
この周期の数字は、原子が持つ最大電子殻(最外殻)の量子数に
一致しています。
また族の数字は最外殻に入る電子(価電子)の個数を反映しています。
価電子は原子の性質や化学反応性を支配する重要な電子です。
「物理・化学」の単位・記号がまとめてわかる事典
著 齋藤勝裕
著 齋藤勝裕

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