1、電流とは

電荷群が連続的に動く現象をいう。
【電荷....物体が帯びている電気の量。すべての電気現象の根本となるもの。
正・負の二種がある。】
水の分子群が連続的に動く現象を水流とよぶのに似ている。
正電荷の流れる向きを電流の向きと定めてある。
電流にとって物質中で電荷を運ぶ粒子は多くの場合電子であり、
電子は負電荷を帯びているから電子の動く向きと電流の向きとは反対になる。
つまり、電子が左に動けば、電流の向きは右向きになる。
2、電流のいろいろな種類

電流はその生ずるメカニズムに従って次のように分類されている。
①導体内や真空中、たとえば、ブラウン管内の自由電子が電界によって
力を受けて動くために生ずる電流を伝導電流という。
②電解質溶液中のイオンの運動のように、帯電した粒子が電界によって
力を受けて動くために生ずる電流を携帯電流あるいは運搬電流という。
③原子内で軌道運動している電子や電子スピンあるいは
核スピンによって生ずる電流を束縛電流という。
電流は流れる向きが一定しているか、時間とともに変わるかによって2種類に大別される。
電池から流れ出る電流のように、
向きが一定している電流を直流電流または単に直流といい、
家庭などに配電されている電気のように、
流れる向きが周期的に変わる電流を交流電流あるいは単に交流という。
以上は電荷の運動によって生ずる電流であるが、
たとえばコンデンサーに交流電圧が加えられた場合、
コンデンサーの極板間には電荷の流れはないが、
極板間に電流が流れているときと同じ磁気作用を周囲に生ずる。
【コンデンサー:電荷(静電エネルギー)を蓄えたり、放出したりする装置】
![]() |
↑コンデンサー |
このことからコンデンサーの中には
電流が流れていると考えるほうが合理的である。
このように電荷の運動によらない電流を変位電流という。
3、電流が及ぼす作用

電流の作用の著しいものに、磁気作用、発熱作用、化学作用がある。
(1)電流の磁気作用
電流の周囲に磁界が生ずる現象をいう。
電流の磁気作用については、ビオ‐サバールの法則でその強さおよび向きが表されている。
さらにこの法則から導き出されるアンペールの周回積分の法則に
変位電流の効果を含めたアンペールの法則で、
電流によって生ずる磁気現象のすべてが表されている。
電磁石はこの作用を利用したものである。
![]() |
↑電磁石 |
また磁界中に電流があるときは、電流は磁界から力を受ける。
この力をローレンツ力とよんでいる。電動機はこの作用を利用したものである。
(2)電流の発熱作用
電流が物質中を流れるとき熱を発生する現象をいう。
このようにして発生した熱をジュール熱(J)とよんでいる。
発生する熱量については、電流(I)の強さの2乗と抵抗(R)および電流が流れる
時間(t)に比例するというジュールの法則が成り立つ。
J=I2Rt
この現象を利用したものが電熱器である。
これに対し、電気機器やコンピュータなどでは、この熱の発生は電力の浪費となるだけでなく、
機器の動作に対して有害である。
(3)電流の化学作用
電流が塩、酸その他の水溶液中を流れるときに、
溶質の成分または二次反応の結果生ずる物質が電極に現れる現象をいう。
これを電気分解とよんでおり、析出する物質の量(w)と電流(I)の関係は
ファラデーの電気分解の法則で表される。
w=K×I×t=K×Q
- K = 電気化学当量(比例定数)
- I [A] = 電流
- t [s] = 時間
- Q [C] = 電気量
電流の単位はアンペア(A)で、「真空中に1メートルの間隔で
平行に置かれた無限に小さい円形断面を有する
無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ、
これらの導体の長さ1メートルごとに力の大きさが
2×10-7ニュートンの力を及ぼし合う不変の電流を1アンペアとする」と定義してある。
1アンペアの電流は1秒間に1C(クーロン)の電荷を運ぶ。
交流の場合は強さが絶えず変化するので、
電流の瞬時値の2乗の平均の平方根をとった実効値を用いる。
[布施 正・吉澤昌純]

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