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赤米



赤米(あかごめ)とは








赤米(あかごめ)とは種皮の部分に赤色系色素であるアントシアンを含んだ赤い米。 

アントシアン...植物の花,果実,葉,

幹などに含まれる色素群。

この色素は酸性では紅色アルカリ性では青色を呈する。

不安定であるので,実際にはいろいろの金属イオンと

化合物をつくって存在し,花の赤,青,紫などの色の原因となっている。


大唐(たいとう)米,唐法師(とうぼし)米とも呼ばれている。







1,性質



赤米品種は全国的に残っており、その様子もさまざまであるが、

一般的には肥料が栄養を多く吸い、

病害虫や気候の変化などの環境の変化に強く、

棚田などの環境不良の田畑であっても比較的簡単に育てることができる。



短所として、丈が長く倒れやすい、収量が少ないなどの難点も有している。


タンニンを多く含む植物には血圧を低下させるなどの

薬理効果があるとされ、赤米にもそのような効果があるとされている。


 色素成分のほとんどは表層10%ほどを占める糠層にあるため、

完全に精米(米を洗う)すると普通品種の白米と区別がつかないほど白くなる。


そのため玄米のまま、あるいは軽く精白して食べるのがセオリーである。


また「そのままではとても食べられない」といわれるほど味に難点がある

原因としては普通品種と比べてアミロースタンパク質

多く含まれることから、ねばりがないこと、

色素成分であるタンニンが渋みをもつこと、

赤みを残すために精白を抑えざるをえないことが考えられる。

文献上でも、「殆んど下咽に堪へず。蓋し稲米の最悪の者なり」などと

記述されているほどである。

赤米の味は、もち米を混ぜることでましになるとされる。



2,歴史



1965年,奈良時代に作られた平城宮跡から発見された

木簡に丹後国から朝廷に赤米5斗が献上されたとあり注目された。


稲の古い品種であり,もともと日本に伝わった稲は

赤米であった可能性が高いといわれる。




低温に強いことから,近年まで山間部の一部で栽培されていた。

また神社に属する田に赤米を栽培したり,正月の供え物にこれを用いる

習俗が各地に伝わっており,現在の赤飯や赤をめでたいことの

シンボルとする意識とのつながりが注目されている。


また、民俗学者の柳田國男は、赤飯の起源は赤米であると主張している。



紀元前に日本に伝来した際、

米には白米と赤米とがあったが、赤米は白米によって

次第に淘汰されていったと考えられている。

伝来した赤米には、より古く伝えられた日本型と、

新しく伝えられたインド型とがある。

日本型は低温に強く、インド型は低温に弱いという特徴がある。



3,採取される地域

赤米はタンニン系の色素をもつもので、日本、中国、南アジア、東南アジア、

アメリカ合衆国、イタリア、ブラジルなどにみられる。



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