1,帝国主義とは
【英語ではimperialismという】
歴史上の膨張主義,征服主義と同義に使うこともあるが,
特に19世紀末以来金融独占資本主義段階に至った国家が,
商品や資本の輸出を保護するために発展途上諸国を支配しようとした政策をいう。
J.A.ホブソンの《帝国主義論》(1902年)や
ヒルファディングの《金融資本論》(1910年)などの先駆的研究があるが,
これらに学びつつレーニンは《帝国主義論》(1917年)において
マルクスの経済理論を発展させ,資本主義が独占資本の段階に入った時に
その最高形態としての帝国主義に転化すると規定し,
帝国主義の五つの特徴として生産の集中・独占,金融寡頭支配の確立,
資本輸出,国際カルテルによる国際市場の分割支配,世界分割の完了をあげている。
帝国主義の段階に入って資本主義の基本的矛盾は著しくなり,
国内では階級対立が激化し軍事体制が強化され,
また帝国主義国と植民地・従属国との対立,先進国と発展途上国の対立,
国際市場の争奪戦等が激化した。
2度にわたる世界大戦はその必然的結果であった。
第2次大戦後,植民地の大部分は独立国となり,
世界の構造は大きく変動したが,新たに巨大化した多国籍企業が台頭して
発展途上国をはじめ国境を越えた支配網を張りめぐらしており,
また先進諸国と新独立国の間に〈新植民地主義〉と称される
経済的・政治的な支配・従属関係が形成されている。
このような構造を〈中枢〉が〈周辺部〉の経済的余剰を収奪し,
低開発を再生産していると捉える〈従属論〉(A.G.フランク)が提起されている。
→近代世界システム/構造的暴力

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