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花崗岩







1、花崗岩とは



石英長石とを主成分とする比較的、粒の粗い岩石の総称。

長石はカリウム長石(カリ長石)の場合と斜長石の場合があるが、

たいていはその両者がともに含まれる。


このほかに少量の黒雲母(くろうんも)角閃石(かくせんせき)を含むのが普通で、

そのために白や淡灰あるいは淡紅の基質に、黒の斑点(はんてん)が散在してみえる。



[橋本光男]




2、花崗岩の種類




花崗岩石英とカリウム長石と斜長石の量比に基づいて、

いろいろな種類に細分され、それぞれに特別の名称が与えられている。

しかし、石英をほとんど、またはまったく含まないものは、

花崗岩と区別され、カリウム長石に富む閃長岩と、斜長石に富む閃緑岩に分類される。







そして、石英が10%以上含まれるものを広義の花崗岩とよび、


それらを次のように区分する。

すなわち全長石量に対するカリウム長石の割合が、

(1)3分の1以上のものは狭義の花崗岩

(2)3分の1から8分の1のものは花崗閃緑岩

(3)8分の1以下のものは石英閃緑岩、などである。




 岩石全体の化学組成からいうと、

ケイ酸SiO2の量は狭義の花崗岩約73%

石英閃緑岩では約63%としだいに低下し、

それとともに石英長石以外の鉱物の種類と量も変化する。





 狭義の花崗岩では、カリウム長石に比して斜長石の量が少ない


カリウム長石は正長石であることもあり、また微斜長石(マイクロクリンmicrocline)であることもある。



石英長石のほかには主として黒雲母が含まれ、ときには白雲母を伴うこともある。

花崗岩の長石、とくにカリウム長石は、ときには他鉱物に比べて大きな結晶となり、

岩石に斑状の外観を与える。

このような花崗岩斑状花崗岩とよばれる。





 カルク・アルカリ岩系の花崗岩が角閃石を含む場合、それは普通角閃石であることが多いが、

アルカリ岩系のものでは、アルベゾン閃石などのアルカリ角閃石が含まれる。

花崗岩が輝石を含むことは少ないが、

アルカリ岩系のものにはエジリンのようなアルカリ輝石の含まれることがある。





 花崗閃緑岩ではカリウム長石に比して斜長石のほうが多くなり、

石英閃緑岩にはカリウム長石はほとんど含まれない。

それとともに、黒雲母や角閃石の量も増加し、また後者の方が前者よりも多くなる。



 以上三つの花崗岩類を通じて、燐灰石(りんかいせき)

ジルコン、褐簾石(かつれんせき)などはわずかであるが普遍的に含まれ、

また緑泥石や緑簾石などが二次的変質の産物としてみいだされることが多い。





 花崗岩にはごく少量の不透明鉱物の含まれることが多いが、

それは磁鉄鉱やチタン鉄鉱であることと、磁鉄鉱を含まず

チタン鉄鉱と他の硫化鉄鉱などであることとがある。


そこで花崗岩を磁鉄鉱系列の花崗岩チタン鉄鉱系列のそれとに区分することができる。



これは石英と長石の量比による前述の分類とは別の区分法である。







また、化学組成のうえで比較的石灰CaOに富み、かつ第二鉄Fe2O3/第一鉄FeOの高いものと、

その逆のものとを区分するというような分類もあり、

これらはいずれも花崗岩の成因に関連した分け方である。


[橋本光男]





3、生まれたきっかけ



花崗岩の地質学的産状は大別して二つある。

一つは周囲の岩石の地質構造に不調和な貫入岩体をなすもので、

地質図に表れる平面の形は不規則だが、まとまっていて輪郭は明瞭(めいりょう)である。



これは花崗岩質マグマが貫入固結したもので、周囲にはマグマの熱の影響で熱変成作用がおこり、

ホルンフェルスの分布する熱変成帯ができている。




 これに対して、広域変成岩の地帯では、

片麻岩の複雑な構造に調和した形の花崗岩体がみられる。

花崗岩と片麻岩の境界は明瞭でなく、互いに移り変わる状態になっている。

このような花崗岩は、周囲の変成岩を生じた広域変成作用に関連して生じたものであろう。



すなわち、変成作用と同時に花崗岩マグマが貫入し、変成岩を同化しつつ固結したものか、

あるいは変成作用が極限まで進み、

変成岩の一部が融解したために花崗岩マグマが生成したものと思われる。


 しかし、いずれにせよ花崗岩は、ケイ酸アルミナAl2O3

アルカリ(Na2OとK2O)などに富む酸性のマグマが地下に大量に生じ、

それが比較的浅い所に貫入固結して生成したものということができる。

したがって、花崗岩の多くは、成因上、流紋岩や安山岩などの噴出岩(火山岩)と関係が深い。



 なお、花崗岩は北ヨーロッパ、カナダ、アフリカ、中国などのような

先カンブリア時代(約5億7000万年前より古い時代)の基盤地質地域と、

日本やアメリカ西部などのような造山帯地域に特徴的に分布し、

前者には狭義の花崗岩が、

後者には花崗閃緑岩や石英閃緑岩が多いとされている。[橋本光男]







ペグマタイトとアプライト





花崗岩体の一部には、黒雲母や角閃石を含まず、

ほとんど石英と長石のみからなる白色の岩石が、脈をなして母岩を貫いていることがある。

それらのうち、きわめて粗粒のものをペグマタイト細粒のものをアプライトという。

これらは花崗岩マグマの固結の末期に生成するもので、

白雲母、電気石、トパーズなどを含むことが多い。

[橋本光男]










どんなところで利用されている?



花崗岩は一般に構成鉱物の結晶粒が大きく、組織も一様で乱れがない。

色は純白、淡紅あるいは淡灰で、磨き上げて光沢が出るようになると、

たいへん美しい。そのため建築物の外張りに広く利用されている。


また強度も高いので、土木用としても、敷き石、橋、堤防などに使われ、

そのほか石碑墓石門柱など、用途が広い。

日本で通常「本御影(みかげ)」(神戸市御影の六甲(ろっこう)山中から

多量の花崗岩が切り出されたことによる)とよばれている

石材の大部分は広義の花崗岩で、とくに花崗閃緑岩が多い。

なお黒御影といわれているのは、斑糲(はんれい)岩であって花崗岩ではない。

[橋本光男]









『勘米良亀齢・橋本光男・松田時彦編『日本の地質』(1992・岩波書店) ▽池田碩著『花崗岩地形の世界』(1998・古今書院) ▽地盤工学会編・刊『風化花崗岩とまさ土の工学的性質とその応用』(1998) ▽高橋正樹著『花崗岩が語る地球の進化』(1999・岩波書店) ▽ウォレス・S・ピッチャー著、田中久雄・沓掛俊夫訳『花崗岩の成り立ち――その性質と成因』(2002・愛智出版)』


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