
行動療法とは
行動科学に基づいて,問題行動を治すことを目的とした治療法の総称。
条件づけ療法または学習療法とも呼ばれる。
パブロフの条件反射学にはじまり,ワトソンの行動主義,
ソーンダイクの学習心理学(教育心理学)などを経て,
アイゼンクによって,行動療法の名称が一般化した。
この療法では,行動とは生体を媒体とする刺激と反応の結果とみなす。
さらに,正常な行動と同じように,
異常行動も条件づけによる学習の結果ととらえて,その条件を消去するために次のような方法をとる。
(1)条件づけ法
患者にとって、好ましい条件づけ(ジュースや菓子,ほめ言葉,点数など)と,
いやな条件づけ(身体的拘束,叱責,無視など)を用意して,
目的とする行動が現れたら好ましい条件づけを,問題行動が出たらいやな条件づけを与える。
小児自閉症,チック,吃音,ヒステリー,非行,
精神発達遅滞,慢性統合失調症(精神分裂病)など,適用の範囲は広い。
また,夜尿症の患者のシーツに,排尿するとブザーが鳴るように配線をしておくことで,
膀胱内圧が上昇してもブザーを鳴らさないように排尿を制止する習慣をつけるといった方法もある。
(2)条件性制止法
チックなど,やめたい行動を反復して集中的に行い,
その後に一定の休憩を与えるという過程を繰り返すことによって,
反復による疲れが学習されて症状が消失される。
吃音や心因性失語症なども対象となる。
(3)バイオフィードバック療法
脳波や皮膚電気抵抗測定器などで身体に現れる
リラックス状態を計測し,患者がリラックスしているときに,それを教えてあげる精神療法。
これによって,自分でリラックスする状況を管理できるようになる。
(4)認知行動療法
鬱(うつ)病などの原因を患者本人の考え方にあるとみなし,
こうした認知のゆがみをほぐす〈論理療法〉などの治療法を〈認知療法〉という。
この認知療法と行動療法を折衷したものが
認知行動療法である。
よく用いられる方法として,医師と患者の役割を交代するロールプレイ(roll play)がある。
医師が患者と同じ訴えを伝えて,患者は医師にアドバイスをする。
これによって,患者は自分の状態をより客観的に把握することができる。
自分のこととなると凝り固まった考えしかできなくても,
友人には常識的な判断ができるといった傾向を利用したもので,
主に鬱病,パニック障害,摂食障害の治療に用いる。

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