1,昆虫とは

昆虫綱に属する節足動物の総称。きわめて種類が多く,
既知種は約95万種,全動物の約4分の3を占め,毎年約3000種の新種が命名されている。
他の節足動物と同様にかたいキチン質の外骨格でおおわれ,
体は多くの環節よりなり,常に頭,胸,腹の3部分が明瞭に区別される。
胸部は前・中・後部に分かれ,各部に一対ずつの肢があり,
中胸と後胸に各一対の翅(はね)をもつものが多い。
(*昆虫のはねは羽ではなく、翅と書く)
頭部には一対の複眼と2~3個の単眼があるが,
単眼を欠くものも多く,単眼だけをもつものもある。
翅(はね)も特有の器官で,
胸部側板を形成した脚の上基節を起源とする先駆構造物が変化したものと考えられている。
呼吸系は胸部に2対,腹部に8対ある気門。血液は背脈管で各部へ送られる。
無翅(むし)昆虫では成虫も幼虫も全く同様な形(無変態)だが,
脱皮につれて翅芽が発達し最後の脱皮と同時に翅が生じるもの(不完全変態という),
幼虫,蛹(さなぎ),成虫と完全変態を行うものがある。
変態は石炭紀〜二畳紀の気候の急激な変化に対応して,好期間に急速に成長し,
悪期間には蛹となって静止して内部形態の形成を完了するように適応したものと考えられる。
こうした生活サイクルは,以後の分化に役だったらしく,完全変態をする昆虫は,現在全昆虫の85%を占めている。
昆虫は古生代のシルル紀に海中から陸上に進出した高等な甲殻類から進化してきたと考えられるが,
最古の化石は次のデボン紀のイシノミ類で,
最初の有翅(ゆうし)昆虫は上部石炭紀から二畳紀の地層から見つかっている。
このころから二畳紀までの地層より現生の目のほとんどが分化し,
さらに二畳紀から三畳紀に絶滅した化石目も出現した。
絶滅した目のなかには,
開張75cmにもおよんだ原トンボ目のメガネウラなどの巨大昆虫もいたが,
多くは現在の昆虫と同じサイズだった。
現生の目の中では鱗翅目が最も新しく,チョウの出現は中生代の後期と考えられる。
現在,昆虫はほとんどすべての陸上に分布し,南極大陸にも露岩地に微小な種類が発見され,
陸から遠く隔たった海上にすむ種類もあり,数千mの高空にも微小な種類が浮遊する。
このように分布が広く,種類も多いところから人間との関係も深く,
農業・林業上の害虫,シラミ,ノミ,ハエなどの衛生害虫となるもの,
一方花粉媒介や前記の害虫の天敵として働くもの,
カイコ,ミツバチなどの有用昆虫などがある。
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