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↑イヌイットの冬服は、 アザラシやカリブーの毛皮でつくられており、世界でもっとも優れた防寒着である。 アノラックとよばれる外とうは、顔を出す部分と袖口以外にはすきまがなく、 大きめにつくっているので、服と身体との間に暖かい空気の層ができ、 これが保温のはたらきをしている。 |
1,エスキモーとは
東はグリーンランドの東岸から,西はベーリング海峡の両岸にいたる極北地帯に住む先住民。
総人口約12万(1990)と推定される。
カナダとグリーンランドではイヌイット,
アラスカと極東ロシアではイヌピアトやユピイトもしくはスクと自称し,
これらの呼称は「人間」を意味する。
言語的にはエスキモー=アレウト語族に分類される。
形質的にはモンゴロイドに属し,がっしりした体格と比較的小さな手足,幅の狭い鼻などが特徴。
核家族が基本的な社会単位であり,*双系的親族組織をもち,
【*…父子関係と母子関係のいずれをも
社会的に承認された親子関係とすることをいい,
いずれか一方だけを社会的に認めた親子関係とするものを単系という。】
最大規模では20~30家族の小集落を形成し,
集落相互の交際や通婚は行なわれるが,統合した組織をもたない。
かつて夏は季節移動の生活を送り,
冬になると数家族よりなるバンドを形成し,獲物を追った狩猟採集民だった。
住居は,夏季には流木を利用したり,海獣の皮や土,石を用いたツピクを設け,
冬季には雪塊を積み上げてイグルーをつくっていた。
1950年頃からは各領有国の定住化政策によって,
多くの人々が町に移住し,生活が一変したが,
それまでは魚類,カリブー,ジャコウウシ,鳥類,
アザラシ,セイウチなどの海生哺乳動物を捕獲したり,
海草や草の実や根茎類の植物採集も副次的に行なった。
雪原の交通は犬ぞりに頼り,
海上の獲物はカヤックと大勢が乗ることのできる革舟のウミアックを使ってきたが,
しだいにスノーモービルやモーターボートに取って代わった。
宗教はシャーマニズムであったが,
17世紀以来の布教活動の結果,キリスト教が広まった。
カナダ政府との長年の交渉の結果,
1991年に同国北東部にヌナブト准州を設けることで合意が成立し,
1999年4月にはイヌイットによる自治州が誕生した。
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