その場で思いついたものにしてはいい発言だと思った。
これだ。
これで、彼女も理解するだろう。
これだ。
これで、彼女も理解するだろう。
「分かった。じゃあ、私が先にここから飛び降りるわ。」
そう言うと、平木は屋上の柵をゆうゆうとよじ登って、
あと一歩踏み込めば、落ちるところまで行った。
僕は今になってようやく事の重大さに気付き、焦りつくしていた。
あと一歩踏み込めば、落ちるところまで行った。
僕は今になってようやく事の重大さに気付き、焦りつくしていた。
「おい、今すぐ降りろ!まじで死ぬって。ここは7階だぞ!」
自分が放った一言が、本当に実行されそうなことになり、
唐突な後悔と罪悪感が僕を襲った。
唐突な後悔と罪悪感が僕を襲った。
パニックになる僕をよそに、平木はすこぶる冷静だった。
まるでこれから起こることを理解していないような。
いや後から思い返せば
誰よりも理解しているからこそ、冷静でいられたのだ。
まるでこれから起こることを理解していないような。
いや後から思い返せば
誰よりも理解しているからこそ、冷静でいられたのだ。
「大丈夫。私が飛び降りた後、
もし私の死体が見つからなかったらあなたも飛び降りて。」
「何を、」
もし私の死体が見つからなかったらあなたも飛び降りて。」
「何を、」
「じゃあ、また後で。」
「ひら、」
「あ」
風の音が聞こえる。
でもさっきまで僕と喋っていた彼女はもうそこにはいない。
血の気が引いた。
なぜなら僕は飛び降りた瞬間を見ただけで、
死んだ瞬間を見たわけではないのだから。
もしかしたら重症だけで済んでいるかもしれない。
今、飛び降りた。
一瞬すぎて、何がなんだか分からない。
僕は目の前で命が消えたのを見た。
いや、 正確には消えたと思った。
でもここは7階だ。
結果はわかりきっている。
やばい、 まずは救急車を呼ばないと。
それよりも彼女の安否が先だ。

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