1,イオンとは

電荷を持つ原子、または分子。
電気的に中性の状態の原子や分子が、1個または複数の電子を失うか取り込んで生じる。
電子を失って正電荷を帯びたものを陽イオン(カチオン)、
取り込んで負電荷を帯びたものを陰イオン(アニオン)、
電子の授受を経てイオンになることをイオン化または電離という。
イオンの持つ電気量は、電子、陽子などの荷電素粒子1個の持つ電荷の整数倍に等しく、
この倍数あるいはその絶対値をイオン価、または価数と呼ぶ。
イオンを表すには、対応する中性原子や分子の化学式の右肩にイオン価(1の場合省略)と
正負の符号を付け、Li^+、F^-などと書く。
陽イオンの形成に必要なエネルギーをイオン化エネルギー、
陰イオンの形成の際に放出されるエネルギーを電子親和力という。
電子殻が閉殻になっていない原子では、
電子の過不足分を補って閉殻の状態となって安定化する傾向がある。
そのため、最外殻に1個の電子を持つ周期表の1族のアルカリ金属は1価、
17族のハロゲンはマイナス1価になりやすい。
例えば、食塩の結晶はナトリウムイオンと塩化物イオンからできている。
溶媒に塩化ナトリウムなどの電解質を溶かすと、
電離により正と負のイオンを生じて電気伝導性を持つようになり、
生じたイオンは溶媒分子と相互作用をして溶媒和イオンと呼ばれる状態になることが多い。
(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)
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