1.赤血球とは

血液中に含まれる有形成分の一つ。哺乳類の赤血球は、中央がへこんだ円板状で核がない。
ヒトの赤血球の直径は約8μm、厚さは中央で1μm、周辺で2μmくらいである。
動物の種類によって形状に差があり、鳥類、爬虫類、両生類、魚類などでは有核である。
ヒトの赤血球が、こうした形態をとるのは、できるだけ多くのヘモグロビンを含み、
酸素の出入りに好都合なように進化したためと考えられている。
ヒトの赤血球数は血液1mm³中に成人男子でおよそ500万、女子で450万である。
したがって、身体全体では25兆にもなる。
また、1個の赤血球の表面積は約100μm³であるから、
全体ではおよそ2500~3000m³にも達する。
ヒトでは、こうした多数の赤血球によって広い表面積をもつことができ、
絶えず酸素と二酸化炭素の出し入れと、体内への運搬が可能となる。
ヒトの赤血球は、胎児の初期以外は骨髄でつくられ、成人では短骨、扁平骨の骨髄で産生される。
腎臓から分泌される造血ホルモンであるエリスロポエチンによって造血が刺激される。
赤血球は古くなると、おもに脾臓や肝臓にあるマクロファージ(大食細胞)によって破壊される。
赤血球の平均寿命は120日であるから、毎日0.8%の赤血球が壊されていくことになる。
その量は平均毎秒200万個を超える量である。
しかし、生体は破壊に見合った数の赤血球を絶えず新生するため、全赤血球数は不変である。
ヒトの赤血球内には、約35%の高濃度にヘモグロビンが含まれている。
ヘモグロビンは4個の構成成分が複雑な立体構造をつくり、生体における酸素、
二酸化炭素の出入りと運搬に好都合なようにできている。
1ℓの血液に結合する酸素量は約200mℓほどである。
[本田良行]
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