両生類とは

脊椎動物門両生綱に属する動物。
カエル、サンショウウオ(イモリを含む)、アシナシイモリ類が含まれる。
[倉本 満]
1,系統・形態
進化史で重要な位置を占める。
両生類は硬骨魚類の総鰭(そうき)類に由来し、
最古の両生類イクチオステガIchthyostega は古生代デボン紀の地層に発見されている。
総鰭類は筋肉質のじょうぶな対鰭をもち、これが両生類の四肢となった。
また、うきぶくろが肺となり、えらにかわって陸上で空気呼吸を行うようになった。
石炭紀には多様なグループを生じ、なかには全長3メートルを超す大形種もいたが、
中生代になると爬虫類が発展して両生類は衰退した。
現生の両生類は3目約3400種を含み、脊椎動物で最小の綱である。
現生の両生類は比較的小形で、体表は分泌腺に富む皮膚に覆われ、鱗や毛はない。
頭は平たく、魚類より少ない骨で構成される。
椎骨とは2個の後頭突起で接合する。
脳に新皮質はなく、大脳は小さい。脳神経は10対で爬虫類の12対より少ない。
耳骨は1個。二次口蓋(こうがい)はない。
胴部に四肢があるが、有尾類の一部では退化し、無足類では欠如している。
横隔膜はない。心臓は2心房1心室で、体循環と肺循環の分離は不完全。
赤血球は楕円形で有核である。肺の構造は簡単で、肺を欠く種もある。変温性。
[倉本 満]
2,分布・生態
体表が水を透過しやすいため、主として湿った場所で生活し、
地上性、地中性、樹上性、水中性など、さまざまな生活様式がある。
海水にすむ種はいない。原則として小形動物を食べる。
卵は小形でゼリー層に包まれ、卵殻はない。胚膜も形成されない。
一般に水中に産卵し、孵化した胚はえらを備えた幼生となって
水中生活を送り、変態して成体となる。幼生の形態は多くの点で成体と異なる。
この典型的な生活史のほか、湿った地上や樹上に産卵するものがあり、
体内受精をする種では胚が母体内で発育して幼生
または変態を終了した幼体となって産まれるものもある。
[倉本 満]
『フレーザー著、山極隆訳『両生類の生活』(1976・共立出版)
▽千石正一編『原色両生・爬虫類』(1979・家の光協会)
▽中村健児・上野俊一著『原色日本両生爬虫類図鑑』(1963・保育社)』
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