1,スプロール現象とは

急速な都市化とともに拡大する都市地域において、
土地利用が無秩序、無計画に進行し、まるで虫に食い荒らされたような状況になることをいう。
都市への人口や機能の集中が進行し、とくに過密化してくると、
それとは裏腹に、それらの都市周辺(近郊農村)への分散が促進され、
激化するが、この傾向は都市周辺における急激に進む団地・住宅の乱立、
工場・住宅の混合、サービス施設の進出などに現れてくる。
こうした土地利用に対する統制や規制は後手に回ることが多く、
したがって、道路や交通機関などの生活基盤とか、公共施設を含む
生活環境とかの整備は遅れることにもなりやすい。
また、地震や水害などの自然的災害に対処する対策も後回しにされることが多い。
スプロール現象の対策としては,的確な都市計画による人口の分散,産業の過疎地移転などが考えられている。
東京は江戸時代から伸展の傾向を示し,この現象が顕著となったのは,
1960年代の高度成長期における急激な発展である。
その結果,大都市周辺の住宅や工場が無計画なままに建設され,
近郊農地,山林の侵食に伴う土地利用の混乱,地価の高騰,交通の渋滞,環境の悪化などの諸問題が山積した。
外国でもこの問題は特定の大都市にみられ,ロンドン,ニューヨーク,ロサンゼルス,ホンコンなどは顕著である。

[高橋勇悦]
『山崎不二夫・森滝健一郎他編
『現代日本の都市スプロール問題』上下(1978・大月書店)』
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