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爬虫類





爬虫類とは



脊椎動物門爬虫綱に属する、角質の体鱗に覆われた変温動物の総称。

この仲間は次のような歴史を有する。

[松井孝爾]



1,系統と進化


爬虫類は古生代末期に両生類から分化し、乾燥に強い皮膚と発達した四肢を備え、

卵殻をもつ有羊膜卵(発生過程で羊膜を生ずる卵)を陸に産むことで、陸上に進出した。

やがて、中生代には大発展を遂げて、爬虫類時代とよばれる繁栄を築きあげた。

爬虫類の最初の祖先型は、ペルム紀(二畳紀)に出現したリムノスケリスなどの杯竜類で、

すでに爬虫類型の骨格を完成しており、その起源は、

両生類爬虫類の両方の特徴をもつシームリア類と考えられている。

ジュラ紀から白亜紀にかけて、大形恐竜類を含む多数の群に分化し、

陸ばかりでなく海、空にまで生活圏を拡張していった。

しかし中生代末期には不明の原因で急に衰微し、

かわって爬虫類から分岐した哺乳鳥類が台頭するようになった。

爬虫類の現生種はカメ、ムカシトカゲ、トカゲ、ヘビ、ワニの総計約6000種で、

南極を除く世界の各地に分布する。

[松井孝爾]





2,形態的特徴


体表は鱗または角質の皮膚に覆われ、分泌腺が乏しくて乾燥している。

体鱗は表皮の表層が角質化したもので、さらに骨質の皮骨を含むものも少なくない。

カメレオンをはじめ樹上性のトカゲ類には、

真皮内の色素胞の収縮・拡張による体色変化を利用した、効果的な保護色をもつものが多い。

脱皮は、成長に伴って表皮の角質部が脱落するもので、

ヘビでは全身が一度に、トカゲでは部分的に、カメやワニでは徐々に行われる。

骨格は両生類よりもさらに硬骨化し、頭骨はただ1個に減った

後頭顆(後頭部にあるくぼみ)で頸椎と関節するため、頭部はかなり自由に動く。

頭骨の構造、とくに側頭窓(目の後方にある開口部)の数や

位置は分類上重要な要素であり、全体が6ないし7群(亜綱)に分類される。

そのうち現生種が含まれるのは無弓亜綱、有鱗亜綱、鰐形亜綱の3群のみで、他はすべて絶滅した化石種である。

[松井孝爾]






『小学館の学習百科図鑑36 両生・はちゅう類』(1982・小学館) 

▽『学研の図鑑 爬虫・両生類』(1973・学習研究社) 

▽中村健児・上野俊一著『原色日本両生爬虫類図鑑』(1963・保育社)』


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