1,海に生くる人々とは
葉山嘉樹の長編小説。1926年(大正15)10月改造社刊。
第一次世界大戦期、暴風雪を冒し室蘭(むろらん)港を出た
石炭船万寿丸は、難破船の救助信号を黙殺し、
負傷したボーイ長の手当てをせず横浜に向かう。
こういう非人間的な海上生活のなかで、下級船員たちは階級意識に目覚め、
ストライキを敢行し勝利するが、横浜で迎えていたのは指導者たちの逮捕であった。
作者の下級船員体験や労働運動体験などをもとに獄中で書かれた。
ユーモアを含むリアリズムを基調に、新鮮な表現と文体で海上労働者の生活、
意識とその成長がよくとらえられ、新しい階級的な文学の成功を実作上で実証し、
次の世代の小林多喜二(たきじ)らに深い影響を与えた。
葉山嘉樹とは…福岡県京都郡豊津村生まれ。
1924(大正13)年、
この短編はさして話題にのぼらなかったが、1925年に『
1926年に『セメント樽の中の手紙』が、同じく「
一躍注目されるようになった。
[祖父江昭二]
『『葉山嘉樹全集1』(1975・筑摩書房)』
コメント
コメントを投稿