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1、コロイドとは
ある物質が特定の範囲の大きさ(0.1マイクロメートル程度)の粒子となって
他の物質の中に分散している状態をいう。
本来は、食塩や砂糖のような結晶性物質と、ゼラチンやデンプン、
タンパク質などのような非結晶性物質を分けるための概念として、
イギリスのグレアムが1861年に提唱したものであり、
前者をクリスタロイド(晶質)、後者をコロイド(膠質)と名づけたのが始まりである。
今日われわれの用いるコロイド関係の用語の多くは、
グレアムによって制定されたものが少なくない。
しかしその後の研究によって、デンプンやタンパク質も結晶することがわかり、
コロイドの性質は、結晶性であるかどうかより、
粒子の大きさなどのほうが大きく影響することがわかってきた。
グレアムがこのような分類を行ったのは、水溶液の中における拡散の速度が、
食塩やショ糖、塩酸などの水溶液と、膠やデンプン、タンパク質などの水溶液とでは、
大きな差があることを発見したからである。
この両方を含む水溶液と純水とを、硫酸紙あるいは膀胱(ぼうこう)膜などを隔てて接触させると、
コロイドはこの膜を透過できないが、
クリスタロイドのほうは純水の方向へ移動・拡散していくので分離できる。
これを透析という。
しかし、その後コロイド化学の発展につれて、コロイドの概念は拡張され、
クリスタロイドのほうは影が薄くなってしまった。
コロイドのなかには、厚さや太さが1~100ナノメートルの膜や
繊維までをも含めて取り扱うことが多い。
これらはそれぞれに、二次元コロイド、一次元コロイドという。
さらに分子自体がナノメートルの桁の大きさのものになると、
このような物質の溶液は、分子溶液であるのにコロイドとしての性質を示すことになる。
つまりコロイド分散系である。
デンプンやタンパク質、高分子物質の溶液はまさにこのような場合であり、
これらを総称して分子コロイドまたは真正コロイドという。
[山崎 昶]
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