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『落ち込み少女』第6章その16








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意外だ。

あれだけ仲睦まじそうに話している新田のことが嫌いなんて。

しかしそれ以上に意外なのがそんなことを知り合い程度の仲の僕に話したことだ。

「えっ、何で?」

気になったのでついその訳を聞いてみた。

西山は耳に付けているピアスに触りながら

「ん~、秘密」

以前のような笑顔で僕の質問をはぐらかした。

「あとこれは誰にもいってないから、秘密ね」

ああ、新田が嫌いなことか。

まあそれが本当かどうか疑わしいが。

「あ、うん」

これは僕に好意があるからじゃない。

仮に僕がこのことをクラスメイトに言いふらしても、

彼女の評判が落ちることもない。

フリーザがナメック星で悟飯たちのもとへ向かうデンデに

「塵一粒くらいは放っておきましょう」と言ったのと同じだ。

愚痴の本音を言うのならば、

僕のようなクラスで何の影響力もないやつの方が都合がいい。


だって言いふらす相手もいないのだから

「じゃあ詳しい日時とか場所はまだ決めてないから後で伝えるね。

あっ、羽塚くんの連絡先教えてもらってもいいかな?」

西山はおもむろにおしゃれなカバーを付けた携帯を取り出した。

ここまでくると、僕に気があるのでは?と一瞬思ったが、

こんなセリフ誰にも言えることを思い出して考えを改めた。

「ああ、いいけど」

僕はしまっている携帯をとりだし、一年ぶりくらいに連絡先を交換しようとした。

しかしそのせいかやり方がわからずに西山はあわてる僕を

クスクスと笑いながら僕の携帯をとりあげた。

他人に自分の携帯を触られるのは抵抗があったが、

特に見られて困るものをないのでよしとした。

「はい、終わったよ」

「ああ、ありがとう」

なぜか僕の方がお礼を言ってしまった。

携帯をみると、彼女のLineのアイコンが表示されていた。

それは西山とその友だちと思われる女の子の写真だった。

これは自分が可愛いと思っていないとできない行為だ。

西山はポケットに携帯を直したあと、教室の時計を見た。

「あ~もうこんな時間、そろそろ私は帰るね」

さよならを言う暇もなく、颯爽と教室を去っていった。

さっきまで西日に照らされた教室がすっかり暗くなっている。

そういえば西山がこんな放課後になぜ教室に戻ってきたのか

今さらながら不思議で仕方がなかった。







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