「おまたせ」
駅前で待っていた僕は西山に目を奪われた。
制服じゃなくともすぐに気づいてしまった。
大きめのスウェットに長めのスカート、雑誌の表紙に載っていても
おかしくないほど、オシャレ感がこんな僕にもわかる。
美少女は自分がどの服が似合うかわかるらしい。
見惚れていた僕に西山は顔をのぞきこむように
「どうしたの?あ、もしかしてけっこう待った?
見惚れていた僕に西山は顔をのぞきこむように
「どうしたの?あ、もしかしてけっこう待った?
ごめんね。慣れないメイクして時間がかかちゃった」
そういえば、いつもよりまつ毛が長く、唇に光沢があるように見える。
「いや、大丈夫」
「じゃあ、行こっか」
西山の横を歩いていると、人とすれ違うたびにこちらを見られている気がした。
やっぱり西山の隣にいるのは僕では不釣り合いなのではないか。
楽しむことよりも違和感を感じてしまい、良心が針でちくちく刺されるような気がした。
目は口ほどに物を言うのは本当だと思う。
だって言葉そのものは無機質なものだから。
感謝を伝える『ありがとう』だって、ぶっきらぼうに言えば、
それは感謝とはほど遠いものになるだろう。
人間を見てきた僕には素直に飲み込めるものではなかった。
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