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『落ち込み少女』第7章その8









「おまたせ」


駅前で待っていた僕は西山に目を奪われた。

制服じゃなくともすぐに気づいてしまった。

大きめのスウェットに長めのスカート、雑誌の表紙に載っていても

おかしくないほど、オシャレ感がこんな僕にもわかる。

美少女は自分がどの服が似合うかわかるらしい。

見惚れていた僕に西山は顔をのぞきこむように

「どうしたの?あ、もしかしてけっこう待った?

ごめんね。慣れないメイクして時間がかかちゃった」

そういえば、いつもよりまつ毛が長く、唇に光沢があるように見える。

「いや、大丈夫」

「じゃあ、行こっか」

二人で建物に入ると、休日ということもあってか大勢の人がいた。

西山の横を歩いていると、人とすれ違うたびにこちらを見られている気がした。

やっぱり西山の隣にいるのは僕では不釣り合いなのではないか。

楽しむことよりも違和感を感じてしまい、良心が針でちくちく刺されるような気がした

目は口ほどに物を言うのは本当だと思う。

だって言葉そのものは無機質なものだから。

感謝を伝える『ありがとう』だって、ぶっきらぼうに言えば、

それは感謝とはほど遠いものになるだろう。

言葉とは真意と裏腹であり、十五年もの間、

人間を見てきた僕には素直に飲み込めるものではなかった。








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