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『落ち込み少女』第8章その6







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三つ目の車両の扉を開けると、僕は目を疑った。

凝っているのではない。疑ったのだ。



数メートル先に西山がいる。



さっきまで、座り込んでいた西山は僕の右にいる。

そして、目の前より少し後ろに西山と同じ顔をして、制服を着ている少女が

こちらをずっと見ている。

西山は言葉を失ったように口がぴくりとも動いていない。

それどころか体さえ、電池が切れて固まったように動かない。

二度目の体験とはいえ、さすがの僕も、西山がもう一人現れたことには、

頭を鈍器で殴られたような衝撃がおとずれた。



「一体いつまで、いい子ぶる気?」


もう一人の西山が話しかけてきた。

その声は、こちらの普段の西山とは程遠い、誰かを軽蔑するような

冷たいトゲが刺さったような言い方に聞こえた。


「自分だけ良い役をもらって、はぶられた由里はどうしたんだろうね」

明らかに自分自身を攻めているかのように見える。

僕の右隣で西山は震えるように体を縮こませている。


「由里がトイレで泣いていた時、あんたは亜里抄や信吾のご機嫌をとってたもんね」



「いい子をやめない限り、あんたはまた、友だちを裏切るよ」



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