1,強迫性障害とは
概要:強迫観念や強迫行為があり、それが本人にとって苦痛である、
または社会生活に支障をきたしている病態がある。
他の精神疾患(例えば統合失調症)が否定される場合に、
強迫性障害であると診断する。
症状:強迫思考(強迫観念)=
それ自体は無意味でありばかばかしいとはわかっているのにもかかわらず、
反復して生じる考えを強迫思考(強迫観念)という。
強迫思考は様式別に、
①細菌などの汚染についての強迫思考(常に手に菌がついているなど)、
②疑惑を内容とする強迫思考(家の鍵を閉め忘れたのではないかなど)、
③侵入的な強迫思考(静かな音楽会の会場で大声を出してしまうのではないか、
自動車運転中に目をつぶってしまうのではないかなど)が頭から離れない、
④正確さや儀式的な強迫思考(電柱にタッチしないと前に進めないなど)の4類型に分けられる。
これらは、気にしないように努力すればするほどかえって強く気になる。
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強迫行為この強迫思考が行動に出たもの、ばかばかしいとわかっている行為を
繰り返さないと気がすまないのが強迫行為である。
この強迫行為が本人の重大な苦痛、
あるいは社会的な活動の妨げになってはじめて、強迫性障害と診断する。
例えば、手に細菌がついているのではないかとの不安があって手を
数分間程度洗うのみならば、まだ強迫性障害としては扱わない。
しかし、細菌がついていることが非常な恐怖である場合には強迫性障害と診断する。
あるいは30分も1時間も洗い続け、
手洗いのため手がひどく肌荒れして皿がにじんでくる、
あるいは日常生活が十分に時間をとって行えなくなる場合にも強迫性障害と診断する。
なお、決まった回数洗うことを自らに課すなど、その儀式行為を行うことによって
本人の不安は多少緩和される傾向がある。
強迫確認もよくみられる。
外出する際に戸締りがされているか、
ガスの栓が閉まっているかなどを何度も何度も繰り返し確認する。
車を運転していて誰かをひいてしまったのではないか、
とたびたび車を停止させて、車に人をひいた痕がないか調べる。
頭ではばかばかしくてあり得ないとわかっていても、自分では行動することができない。
治療と予後:強迫性障害に対しては抗うつ薬(SSRI)を投与する。
小児期や思春期くらいまでの早い時期に発症するタイプは、
治療をしなくても1年以内に治ることが多い。
一方、成人期以降に発症し元来の強迫性格とからんでいる場合には、
SSRI治療にもかかわらずしばしば慢性化する。
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