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『落ち込み少女』第10章その16





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情報収拾は大事だ。

おそらく、平木は僕より詳しく知っているはずだ。

でも…

「平木さんに聞いてみる?」

「それが一番の近道だと思う、でもさ…」

「でも?」


「悩み部屋は、その人の悩みを具現化したものと思うんだ。

悩みを解決していないとすれば、

また嫌な思い出を呼び起こすことになるんじゃないかなってさ」


平木は母親との関係は良好になったというが、

それは僕に気をつかっていたのかもしれない

つい最近知り合った僕を巻き込んで、

悩みは未だに解決していないと言えるわけがない。

その時、初めて気づいた、彼女は誰よりも僕に優しかったんだ。

拳を強く握りしめて、爪が皮膚に食い込んでいる


「そうだね」

西山はすべてを悟ったような優しい笑顔を向けて、ドアの方に向かっていった。

「羽塚くんは二人の女の子を助けたことになるんだね~」

「いや、そんなこと…」

「そんなことある!」


「変わるきっかけを作ってくれたのは、君なんだから。

電車もレールのポイントを切り変える瞬間が一番大変なんだよ」


「もしも、羽塚くんが悩み部屋に行っちゃたら、私が一番早く駆けつけるよ!」

西山は可愛い笑顔のまま、屋上を去っていた。


「ありがとう、西山」


振り向いて見た空は、いつもより青く、透き通っていた。




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