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「ぼっち生活を満喫してるでしょ?」
まぁ、西山は教室での僕の行動を知っているから、
その結論に至るのはしごく容易なことだろう。
「正解だよ」
他人にぼっちと言われるのは、結構こたえるな。
痛いところは自分で突く分にはそこまでだが、
他人に突かれるのは、想像以上に恥ずかしいし、嫌な気分になる。
「それで何の用事なんだ?」
気分を変えるために、話を変えることにした。
西山はどうしているんだ?と聞き返してやりたかったが、
どうせ彼氏や友だちと遊びに行ったとか家族で旅行だとか、
リア充ライフを過ごしているんだろう。
正直、そんな話を聞いてもちっとも面白くはないし、
かといって西山に誘ってほしいわけじゃない。
言っておくが、僕は西山や新田のようなリア充ライフを過ごす、
一軍連中の行動に憧れたことは一度もない。
集団特有のノリや一人で行動できないもどかしさは人一倍見てきた。
でも、彼らの生き方に尊敬しているのは確かだ。
他人がより付いていくのは僕よりも彼らの方だし、
僕よりも他人に依存することに慣れている。
「聞いてる?」
いつの間にか、自分の思考に酔っていた。
「ああ、聞いてるよ」
「明日の13時、学校に来てくれない?」
「学校に?」
そう言い返してソファから起き上がり、カレンダーを見た。
八月六日、特に予定が書かれているわけでもない。
それ以外の曜日にも予定の「よ」の字も書かれていなかった。
カレンダーがかわいそうに思えてきた。
「話したいことがあるの」
通話越しでも西山の声が真剣になったことが分かる。
「ダメかな?」
「わかった」
「ありがとう。じゃあ、また明日学校で」
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