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「それってマジ?」
「ああ、まぁ見てろ」
僕は携帯と宿題のテキスト、
筆記用具を持って、自分の部屋に戻った。
よし、電話しよう。
プルルルル・・・、呼び出し音が嫌に長く感じる。
汗でにじむ手を握り締める。
「はい、平木ですけど」
よかった、平木の声だ。
「あぁ、平木か?」
「どうしたの?」
電話がかかった達成感で、かけた目的を忘れてしまった。
「いや、最近何してる?」
「そうね…本を読んだり、将棋をしてるわね」
もうおっさんのような趣味だな。
「そっか。充実しているな」
「そんなお膳立てはいいから、早く要件を言いなさい」
「花火大会に行かないか?」
「ええ、いいわよ」
「マジ?それなら、明後日の夕方5時に学校の校門に集合で」
「ええ、わかったわ」
「それじゃ」
ピッピッピッ、通話が切れた音が鼓膜に反芻する。
案外あっさりいった。
ここまですんなりいくと、裏に何かあるんじゃないかと疑ってしまう。
あの日以来、常識や当たり前を疑うようになった。
「ここから飛び降りて」
もしもあの言葉に従わず、平木を見捨てていたのなら、
悩み部屋を知ることはなく、花火を見る約束も出来なかったわけか。
いや、平木に出会わずとも、他の誰かの悩み部屋に入っていたのだろうか。
でも、なぜだろう?
君が初めでよかった。
だってあんな出会い方じゃなければ、仲良くはなれなかったと思うから。
それからベッドで横になっても、熟睡という睡眠ができなかった。
平木との待ち合わせまで、「もしもあの時…」という考え事が頭から離れなかった。
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