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『落ち込み少女』第13章その6



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部屋へ入ると、電気を点けることもなくベッドに向かい、深い眠りに落ちた。


そしてさも当然のように今日から明日になった。


目覚めると、身体に感じた汗は僕を風呂場に向かわせ、歯を磨かせた。


昔は寝起きに歯を磨かなくても、不快に感じることはなかった。


そう思うと、歳を取ることを大人が嫌うのも理解できる気がした。


そして朝食を食べ終えた僕は学校に向かった。


歩いていると、自転車の音が近づいていることに気付いた。


制服を来た女子高生二人が楽しそうに話しながら、僕を真ん中に挟んで通り過ぎて行ったのだ。 


一瞬しか見えなかったが、あの笑顔はまるで夏休み明けとは思えないほど輝かしいものだと思った。


最中は通り過ぎれば、あっという間に感じる


夏休みが終わったのだ。


僕の憂いはとうに最高潮を通り越えた。


学校に着いて自分の座席に座ると、


みんなが十月に開催される文化祭の話をしていたことに気づいた。


浮き足立った教室も落ち着きを取り戻し、夏休みの話題が無くなっている。


その時大量の唾液が舌先に乗っかったり、


不安と孤独をブレンドさせた、なんともいえない味わいを僕の心に与えた。


どうしてそんな早く切り替えられる?


どうして一か月先のことをそんなに楽しく話していられる?


そんなに学校という場は面白いか?


八時間近く、縦横八メートルの部屋に押し込められているんだぞ。


周りには見ず知らずの他人、教員免許を持った大人たち、こんな光景に違和感を覚えないのか?


世の中にはもっとスリルの溢れたワクワクするような場所があるはずだ。


僕はそれを二度も体験している。


しかしあの六月から三ヶ月近く経っているが、僕の前には悩める女の子は一向に現れる兆しがない。


真夏に霜が降りる確率よりも低いんじゃないかと思う。


何か面白いことがあるんじゃないか?


そういう興奮を抑えられない自分がいる。


だって、春学期はあれだけ色んな波乱があったんだ。


それなのに、今は何もない。





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