心が熱くなった。
西山が僕を励ましてくれていることがわかる。
でも信じきれなかった。
きっと彼女がこう言ってくれたのは僕が彼女の悩み部屋にいたからだ。
危険な状況下で出会ったからだ。
もしあの時、一緒にいたのが僕以外の誰かだったら
こうして完ぺき美少女の西山と放課後に話していたのは僕じゃなかったはずだ。
ひねくれているのは自分でもわかる。
「ありがとう、西山」
そう言うと、西山はまた何かを悟ったように言った。
「よかった、じゃあ私は行くね」
軽快に走り去っていく彼女の背中を見ながら、
ここに来た訳を聞きそびれたことに気づいた。
それから丸付けを終わらせて、英語の宿題を矢崎先生に提出した後、
僕は八月よりも暗くなった夜道を歩いて帰っていた。
朝目覚めると、
洗面所で顔を洗っていると、おでこに痛みを感じた。
見るとニキビができていたことに気づいた。
赤く少し膨らんだそれはなんとも言えない不恰好さを漂わせていた。
嫌悪感と羞恥心で朝の眠気が嫌になるくらい吹き飛んだ。
前髪で上手く隠して、学校へと向かった。
世の中は隠してばかりだ。
真実はどこにある?
みんな隠してばっかりじゃないか。
良いところだけ見せつける。
テレビだって、政府だって。
悩みだってそうだ。
隠さずに生きていけたら、平木は飛び降りることもなかった。
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