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『落ち込み少女』第13章その7

 

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同じ道をぐるぐる回っているみたいに、何も進んじゃいない。

「悩み部屋」が何なのかさえわかっていない。

自分が「何者にもなれない人間」だってことが明確にわかっていくだけだ。


上手くいってないわけじゃない、でも何かが足りないことはわかる。

昔と同じだ、別に期待していたわけじゃない。

今のはきっと名付けるのなら、期待しない期待なのだろう。

昔は好奇心が行動の原動力になった。


なんだか気になるから、面白そうだから、

たったそれだけでどんなことにも夢中になれた。

でも、中学生になった辺りからその役目は恐怖心に代わった。

親や先生に怒られるから、友達に嫌われるから、


将来が怖いから、学校に行って、勉強して、人の顔色を伺って、

興味があることや好きなことも色んな言い訳が思いついて止めてしまった。


朝のわりに思考がすこぶる調子がいい。

そして、自己嫌悪に襲われる。

ホームルームが始まり、一限が、二限が、気づけば昼休みになっていた。

あぁ、また無常に時間だけが流れていく。


窓の外を眺めることがこの苦痛に耐えられる唯一の手段だった。

ただぼっーとしていることに不思議と罪悪感はなかった。

でも、心残りはある。

右を向くと、平木がいた。


いつものように難しそうな本を読んでいた。

もう昼食は済ましたのだろうか?

彼女との距離が前よりも遠く感じる。

二週間近くも話していないせいか、それとも...。


嫌われてもいい、ただ彼女と話したい。

そうすれば、何かが変わるんじゃないかと思った。


「ひら「おい、羽塚」


僕の緊張した声を片山の無神経でズボラな声がかき消した。


平木は一瞬こちらを見たが、片山が僕の座席の前に来た途端に、

持っていた本に視線を戻した。

いったい会話を遮られたことだろう、もう呪われているとしか思えない。


「何だよ」


苛立ちと驚きが混じって早口になっていることが、

片山に言いながらわかった。

しかし彼は僕の口調から感じ取ることは何もなく、質問があるように尋ねてきた。


「お前と平木って付き合ってるの?」


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