新しいコンピュータの購入であれ、アルバイト探しであれ、
目標を達成する時には市場における他の人々との関係から切り離すことはできない。
市場(Market)とは、財やサービスによって
買い手と売り手が取引する場所である。
経済学とは、大きくいえば市場で何が起こっているかを分析する学問である。
人々がどのように選択するか、また、市場でどのように影響し合うかを学びながら、
3つの重要な概念がある。
1、人間は合理的である
経済学者は通常、人間が合理的であると仮定する。
これは、誰もがすべてを知っているとか、すべての人が常に「最良の」決定をするという
これは、誰もがすべてを知っているとか、すべての人が常に「最良の」決定をするという
意味ではない。
消費者や企業が目標達成のために行動するにあたり、
入手可能な情報をすべて活用していると仮定する、という意味だ。
合理的な個人なら、一つひとつの行動に対する費用と利益を比較し、
利益が費用を上回るときだけ行動を起こす。
例えば、マイクロソフトがウィンドウズ1本につき239ドルという価格をつけたのは、
マイクロソフトの経営者がその価格で最も利益を得られると考えたためだ、と経済学者は見なす。
経営者が間違っていて、265ドルならさらに利益が得られた可能性もあるが、
経済学者は、マイクロソフトの経営者がその価格を選択するにあたって、
利用できる情報に基づいて合理的に決断したものと考えるのだ。
もちろん、すべての人がいつも合理的に行動するわけではない。
それでも、合理的な行動という前提は、人々の選択を説明するには極めて有効だ。
2、人間はインセンティブ(誘因)に反応する
信仰、嫉妬、同情など、人間の行動の裏には様々な動機があるが、
宗教への消費者や企業が一貫して反応するのは経済的なインセンティブである、と経済学者は主張する。
この事実は明白のようだが、見逃されがちだ。
例えば、『ウォール·ストリート·ジャーナル』の記事によれば、強盗事件の多発にもかかわらず
銀行が安全強化の対策を講じないことが、FBIには理解できなかったそうだ。
「FBIの高官は、銀行は制服を着た武装ガードマンを入り口に配置し、窓口に防弾性プラスチックを装備するように提案した。」
ほとんどの銀行がこの忠告を受け入れなかった。
記事はその理由として、防弾性プラスチックを装備するには1万ドルから2万ドルかかること、
訓練されたガードマンの給与や手当てが年間5万ドルになることを挙げている。
銀行強盗による平均被害額はわずか1,200ドルに過ぎない。
銀行にとっての経済的なインセンティブは明白だ。
安全対策を講じるより、銀行強盗を甘受するほうが安上がりなのだ。
3、適切決定は限界においてなされる
「すべてか、無か(All or Nothing)」という決定を下す場合がある。
例えば、企業家が新しいレストランをオープンするかどうかを決める場合は、開店するか、しないかのどちらかである。
しかし、人生におけるほとんどの決定は、バランスの問題に帰着する。
例えば、あなたが消費を減らして貯蓄を増やそうとする場合は、
すべてを貯蓄するか、すべてを消費するかの二者択一にはならない。
むしろ、スターバックスで毎日カフェ·モカを買うか、週3日にしておくか、といった小さな選択の積み重ねになる。
経済学者が使う「限界」という言葉には「追加の」という意味がある。
あと1時間を勉強にあてるか?
テレビを見る限界便益(Marginalbenefit、記号ではMBと表す)とは、
テレビを見ることによって得られる追加の楽しみのことである。
限界費用(Marginal cost、記号ではMCと表す)とは、勉強時間を減らすことによって
起こる成績の低下である。
アップルはiPhoneを追加で30万台生産すべきだろうか?
企業は財を売って収入を得る。
アップルの限界便益は30万台のiPhoneを売って得られる追加収入である。
アップルの限界費用は、30万台のiPhoneを生産するための追加費用(賃金、部品など)である。
経済学者は、
最適決定とは、限界便益と限界費用が等しくなるまである活動が継続することと考える。
記号でいえば、MB=MCである。
私たちは無意識のうちに、この原則を適用していることが多い。
テレビ番組を見ることで得られる楽しみが、
その時間に勉強をしないことによる費用に見合うかどうかは、さほど考えなくてもわかる。
しかし、ビジネスでは、企業は決定する際に注意深く計算しなければならない場合が多い。
例えば、生産を増やして得られる追加収入はその生産にかかる追加費用よりも多いか少ないかなど。
経済学者は、限界便益と限界費用とを比較する分析を限界分析(Marginal analysis)という。
(グレンハバード)
リンク
リンク
コメント
コメントを投稿