1,理想気体とは

ボイル‐シャルルの法則に厳密に従う気体を理想気体という。
このことから理想気体は次のような条件を満足させるものであることになる。
〔1〕分子間相互作用がない、
〔2〕単原子分子、
〔3〕有限の大きさの分子を含まない、
〔4〕内部エネルギーか温度のみの関数で密度によらない。
実在の気体は多少ともこの条件から外れるが、いわゆる永久気体は理想気体に近いものといえる。
実在気体も、高温、低密度条件下では理想気体からのずれは非常に小さくなる。
2,理想気体の状態方程式
n モルの気体の圧力,体積,絶対温度を
それぞれ P ,V ,T とするとき
PV =nRT を理想気体の状態方程式という。
R は気体定数と呼ばれ,圧力に気圧,体積にリットルの単位を用いるとき,
0.08206l・atm/deg・mol の値をとる。
この式はボイルの法則
(一定温度で一定量の気体の体積は圧力に反比例する) と
ゲイ=リュサックの法則
(一定圧力で一定量の気体の体積は絶対温度に比例する) を組合せたものである。
この式は実際の気体に対し厳密には成立しないが,
分子量が小さく,圧力の小さい気体,
たとえば低圧の水素ガスなどに対してはよく成立する。
この式が完全に適用される気体を想定してこれを理想気体という。
理想気体とは分子に大きさがなく,
また分子間相互作用がないと仮定された気体に相当する。
気体の挙動を理論的に考察するうえできわめて重要な式である。
この式は気体分子運動論によっても理論的に導かれる。
またペランの実験によって分子の実在の証明にも利用された。
この式に対して実在の気体にも成立するように分子の大きさと分子間力を考慮した
実在気体の状態方程式
(ファン・デル・ワールスの状態方程式 ) がある。
分子間力および分子の体積のための補正定数を
それぞれ a ,b とするとき,1molの実在気体について,
状態方程式は
(P +an 2/V 2)(V -nb )=nRT
で示される。
a,b は気体の種類によって決る定数である。

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