
1,位置エネルギーとは
ポテンシャルエネルギーともいう。
地球上で高さ h にある質量 m の物体が地表まで任意の経路に沿って落下するときに,
重力加速度を g とすると,重力がこの物体に対して行う仕事は mgh ,
この間に物体は他に対して mgh だけの仕事をすることができる。
mgh を重力の位置エネルギーという。
ばね定数 k の線型ばねは正常な長さから x だけ伸ばす (または縮める) と
正常な長さに戻ろうとするフックの力 kx が働き,
正常な長さに戻るまでに他に対して kx 2/2 だけの仕事をする。
kx 2 /2 をばねの弾性の位置エネルギーという。
一般に,質点に働く力がする仕事は,
その質点の初めの位置 r と終りの位置 r ' だけで決り,
途中の経路や遅速に関係しないとき,
その仕事は U (r )-U (r ') と書ける。
仕事がこの形に書けるのは保存力と呼ばれる種類の力,
たとえば重力やばねの力などの場合だけであって,
U (r ) をこの保存力の位置エネルギーという。
U (r ) は付加定数だけの任意性をもつが,適当な基準点での値を定めれば位置 r だけで決る。
たとえば,位置 r ' を基準点として U (r ')=0 と定めれば,
U (r ) は位置 r から基準点まで移動する間に保存力が質点になす仕事を表わし,位置 r だけで決る。
質点はこの移動の間に他に対して U (r ) だけの仕事をすることができる。
これは質点が保存力の力場の中の点 r にあるために潜在的にもつエネルギーと考えて,
基準点 r ' に関する位置エネルギーと呼ぶ。
位置エネルギー U (r ) がこのような意味をもつのは,基準点での値をゼロに選んで
未定の付加定数をゼロに定めたからであって,
この選択が最も便利である。
距離 r だけ離れた質量 m ,m ' の2物体の間に働く万有引力 Gmm '/r 2 ( G は万有引力定数 ) も
保存力であって,m ' の質点を原点と考えるとき,
r だけ離れた m の位置エネルギーは U (r )=-Gmm '/r で与えられる。
ただし,基準点を無限遠点 r =∞ に選んで,U (∞)=0 としている。
なお,仕事をする能力は保存力場の中にある質点ではなく,
力場そのものの中に潜在していると考えることもでき,
そのときには位置エネルギーのことを力場のポテンシャルという。
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