目を開けると、そこはさっきまでの子ども部屋とはまったく違っていた。
おかしいぞ、さっきまでドアの向こう側を歩いていたのに。
周りを見渡すと、 先ほど僕と平木がいた風景も、
そして立ち位置も全く同じことに僕は気づいた。
....帰ってこれたんだ。部屋はもう見当たらない。
傾く夕陽。
なぜか感無量だった。
「帰ってこれた。」
思わず、口にしてしまった。
平木は僕の方を見ずに、遠くを眺めて
「ええ。」
と言った。
僕への返事ではないように感じた。
長い沈黙だ。
この行間を読むことは今の僕には出来そうもない。
彼女の顔を見ると、まだ枯れきっていない涙が頬に跡を残していた。
「そろそろ帰った方が...」
「今日は1人で帰らせて。」
どうやらまだここにいるらしい。
「わかった。」
僕は飛び降りる前に置いた鞄がすぐ後ろにあることを確認して
その鞄をゆっくりと持ち上げ、ドアの方へ向かった。
「あの、羽塚くん」
歯切れの悪い呼び声だ。
彼女の中でまだ葛藤しているのだろう。
そりぁそうだ。
幾年もの間悩んでいた答えが一日で、はい解決となるはずがない。
しかしそれなら、あの部屋から出られたんだ?
悩み部屋は当人の悩みを解決することでしか出ることは
出来なかったんじゃなかったのか?
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