その8←ここをクリック
駅から出た僕は、そのまま平木についていった。
辺りは人通りの少ないが、民家が立ち並んでいた。
十分ほど歩いたところで彼女は止まった。
そこには広い家があった。
門から階段で20歩近く歩いたところに家がある。
木造建築の家だ。
「ここは?」
「私の家よ」
でかい…百坪くらいはあるんだろうその家からは
一般庶民を黙らせる優雅さと気品さが立ち込めている。
こんな家に住んでいるなんて、平木家はいわゆるお金持ちなのか?
平木は僕の顔をじっと見ると、
「初めに断っておくけど、羽塚くん、私は貞操観念は持っている方よ」
「彼氏でもいるの?」
「いえ、まさか。自分の貞操は守りたいだけよ」
「ってか、君は僕を変態野郎としか思ってないのか?」
「ええ、だって、羽塚くんは童貞でしょ?」
なんてことを言うんだ、こいつは。
何を証拠に僕を童貞と決めつける?
…まぁ、そりゃ僕は童貞だよ。
しかしそのことを堂々と言えないくらい童貞を恥じてしまっている。
何も言い返せない自分が情けない。
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