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『落ち込み少女』第6章その9






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「そういえば、平木は体育祭で何か出場するのか?」

今は一限の国語が終わった後の休み時間だ。

特にすることもないのでいつものように難しそうな本を読んでいる平木に

一度しぼりきったぞうきんを手が痛くなるまでしぼるように

勇気をふりしぼって話しかけている。


何かに集中している人に対して話しかけるにはためらいが生じるものだ。



それでも話しかけたのは暇だったからに他ならない。

基本的に僕は自分の席からは動かない。

休み時間といえば学生が授業という机と椅子に拘束された

時間のごくわずかなインターバル、休息時間だ。

だがたかだか十分足らずの休息時間にできることなんてたかがしれている



しかし休み時間は学校生活の縮図ともいえる。

この時間の過ごし方でそいつがクラスの何軍に属しているのか、

またどの派閥にいるのかがおおまかにわかる。

一軍は二組の〇〇が他校の奴らと喧嘩しただの、

〇〇先輩が二十歳の男と付き合っただの、

中には冗談なのか本当なのか笑えないものもある。

こんな風に一軍は学校の掲示板には載っていない情報をもとに談笑することができる。




正直自分の関係のない人間の話をしても何が楽しいのが僕にはわからないが、

帰宅部の僕は学校に先輩と呼べる人なんているわけがないし、

教科書や筆記用具を忘れた時に誰か頼れるかと考えても誰も思いつかない。

不特定多数の人間と話していないと他クラスの友だちなんて作る機会がない。

そういうことを配慮すれば、

社会に出た時に成功するのはきっと僕ではなく、

彼ら彼女らの方だと思ってしまう。



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