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テストだけで気持ちが萎えたのに、
何で夏休みに宿題をやらなければならないんだ。
そんなに宿題を作れるなら、あんたらがやればいいじゃないか。
自分で問題を作って自分で解けば、勉強になるだろう。
僕らだって暇じゃない。
普段できないことをやらなければならないんだ。
冷房がガンガン効いた自室で昼間に寝たり、
親がいないリビングで映画を見たり、図書館や本屋に行ったり。
まぁ、よくよく考えれば、夏休みじゃなくてもできることだなぁ。
僕にとって夏休みはただの長期休暇であって、八月ではない。
海や祭りに行くような中高生の青春とはほど遠い。
だからこそ、学校の宿題なんてやっている暇がないんだ。
「宿題多そうだなぁ」
一人言のようにつぶやくと、
「まぁ、七月中に終われば問題ないわ」
やっぱりダメだ。この少女とは見ている観点がまったく違う。
一体どれだけ勉強したら、そんなことが言えるんだろうな。
「相変わらず君はすごい奴だと思わされるよ」
あの日、屋上に呼び出されて以来、君には驚かされてばかりだ。
「それは羽塚くんも同じよ」
「どういう意味だ?」
「さあ、わからないけど」
答えをはぐらかしたように聞こえる。
平木は帰る準備をした鞄から本を取り出して、読みだした。
いつものカバーのついた分厚い本だった。
もう聞いてしまおうか…。
「あのさ、連絡先を教えてくれないか?」
「私、携帯持ってないわよ」
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