
右隣にいるべきはずで、
完全に固まったような真顔のお手本の ような顔で
僕の方を注視していた。
じーっと、僕の顔を見ている、 いや睨みつけているのか。
気づいて、もう20秒くらい経ってい る。
のに、彼女顔は最初の表情から寸分違わなかった。
...こ、 こわいな。
ただでさえ、顔のパーツがくっきりしている分、
「…」
無言だ。
ここまで見られて、何も話しかけられないのは、
「...ぁ」
全く表情を変えなかった彼女の顔に変化がみられた。
彼女はようやくその重い唇を開けたのだ。
話すのか?僕に話しかけるのか?
「ここの範囲ってもう終わったかしら?」
「えっ、えっ~と、そこは確かやってないはずだよ。」
初めて彼女の声を聞いた。
とても軽く、 しかし何かを抱えているかのような重みのある声だった。
ちなみに平木の質問に答えたのは、僕じゃない。
ちなみに聞かれたのも、僕じゃない。
まさか平木は僕ではなく、平木の席から見て、
さっきのガン見はいったい何だったんだ!?
僕の意識が右隣の座席ではなく、

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