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『落ち込み少女』第7章その5





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今日の放課後から憂鬱な気分は変わることなく、家にまで持ち帰ってしまった。

それでも誰かに気づかれることは避けたかったので、

好きな芸人の漫才を見ながら、どうにか顔にだけは出さまいと努力した。

窓の外がずいぶん暗くなった後、

一家団らんと言えないが会話が途切れることもなく、父と母と妹で夕食を食べていた。


「明日、僕は昼飯いらないから」

父と母のどうでもいい世間話が終わりかけていた時、ふと口にした。

僕の向かいに座っていた母は視線を前に向けて

「どっか出かけるの?」

関心があるのかないのかわからないくらいのトーンだった。

ただ聞かれた以上は答えないとおかしいので正直に言うことにした。



「クラスメイトと用事があるから」


それまで隣で携帯をいじっていた妹が関心が僕らの会話に移ったようで

「女子?」

僕が女の子と用事が発生することに違和感を覚えているようだった。

いや、見下しているのだろう



「ああ。そうだよ


妹の態度のせいで、そっけなく言ってしまった。

するとそれまで他人事のように聞いていた母の様子が一変した。



「すごいじゃない。あんた無愛想で陰気だから心配してたけど、

高校始まってすぐに女の子とデートなんてやるじゃない」


一体何がすごいのかわからない。

それに息子に対する評価がひどすぎる気がする。

僕が母の言葉の意味を考えているすぐ間に付け足すように


「あんたも高校生なんだから青春しなさい」


そう言って、また父と世間話を始めた。

気づけば、隣の妹もさっきまでの関心が携帯に戻ってしまっていた。

青春ってなんだ?

恋人をつくることか?友だちと馬鹿をやることか?部活動や勉強に打ち込むことか?

残念ながら、今の僕にはどれも当てはまるものはない。

それはきっとこれまで僕自身選んできたものが青春とはほど遠い、

独りよがりのエゴなものばかりだったからだと思った。



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