西山の顔は不安と期待を等比で混ぜ合わせてような、
何とも言えない表情を作りあげていた。
この質問はかつて、あの電車の中で聞かれたことと同じように思える。
何とも言えない表情を作りあげていた。
この質問はかつて、あの電車の中で聞かれたことと同じように思える。
女の子にとってカッコいい男、才能のある男、金のある男、
そういったみんなが注目するような、
しかし西山はそんなもので釣られるほど馬鹿な子では無いのだ。
嫉妬と羨望の目は熟した蜜ようにたまらなく甘く香ばしいのだろう
多分あの一件以来、彼女はそんな自分を毛嫌いしている。
しかしそれが彼女のやり方であり流儀なのだ。
それを一から否定しては西山が西山で無くなる。
だから今は手放したいけど、
それは彼女のレールではないけれど、
彼女はあの時それが自分のレ
それだけでも自分というものを取り戻せたことになるのだろう。
かといって明らかに否定することも間違っている。
だから僕は強くも弱くもない口調で言った。
「何事も自分一人では出来ないって何か寂しいなぁと思った。」
西山は全てを悟ったような優しい顔で
「そっか、ありがとう。」
と言い、階段に降りていった。
悩みは一つの部屋なんかに収まりきるものではないようだ。
先生の許可で絵具を貰い、教室に帰ると、
午後の七時前になっていた。そこで、作業に終えることになった。
どうやら、今日は昨日よりかは作業は進行せず、また明日もやることになった。
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